2009年7月 Archives

 朝鮮戦争での壮絶な体験を持つ老人と、アメリカに移住したアジア系移民の交流を描いた作品。ギャングの一味にされそうなタオという少年を、主人公がツッケンドンに扱いながらも少しずつ育てていくという展開です。

 主演がクリント・イーストウッドとあって、頑固で不器用な老人の味がよく出ている。この主人公が子供や孫達に疎んじられるのも、なんだかリアルな雰囲気がある。アメリカに限らないよね、そういうの。

 移民がギャング化するという現実はおそらく日本でもあるのではないかと考えると、この作品が「アメリカの現実を描写している」と感心している場合ではないのかもしれない。この作品はコテコテの頑固老人と移民という組み合わせで手際よくストーリーを転がしていくわけだけど、そこに救いがある。だから見ていられるというか。

 現実はもっともっと乾いてしまっているのかもしれないと考えると、やりきれないものがありますな。

 主人公以外はほとんどが無名の役者。その割には演技がうまいと感じるのはなぜでしょう。脇役でも、ギャングの2人がメチャクチャいい感じです。

シザーハンズ(1990)

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 主人公は人造人間のエドワード。発明家が急死してしまったがために、両手がハサミのままこの世に残されてしまった。幽霊屋敷で彼を発見した化粧品販売員のペグはエドワードに優しく接し、彼女の家に迎え入れる。そこからエドワードはいったん街の人気者になるが、ちょっとしたことからトラブルが広がっていく。

 ジョニー・デップの演技が冴えている。話の舞台は1950年代か60年代のアメリカで、社会全体の雰囲気が明るい。その明るさと主人公の陰の部分とのギャップが上手く描かれていると思う。

 非人間が人間に恋をするというのはファンタジーやホラーの王道でもある。そういう意味でも、適度な長さでわかりやすい展開の作品です。それでいて、陳腐な雰囲気もなく、ファンタジーとしても、淡い恋の話としても楽しめる。

 名作といって間違いないでしょう。

 メジャーリーグで不振気味のかつてのスター選手が中日ドラゴンズにやってくる。そして文化の違いなどから事あるたびにトラブルを起こし、監督とも対立する。しかしあることがきっかけでプライドを捨てた主人公が大活躍して……。という流れです。

 主演はトム・セレック。体格もいいからメジャーリーガーが似合わないでもない。ただしバットのスイングがえらく下手な感じがするかも……。そして鬼の監督役は高倉健。怖いようで本当はいい人、というありがちな役だけど、視聴者に頑固そうなイメージを植え付けるという点ではかなり効果的だと思う。

 野茂やイチローらがメジャーで活躍する前に作られたこの映画を、当時のアメリカ人はどう受け止めたのだろうか。今年はWBCで日本が連覇を果たしているわけだから、今なら「メジャーリーガーが日本の野球を見下す」という最初の設定からして成り立たなくなるような気がする。

 野球がテーマとあって、気楽に見ていられるいい映画です。難点を挙げるとすれば、もう少し笑える場面が欲しかった。もっとも、異文化の衝突というエピソードはアメリカ人ならもっと面白く見られたのでしょう。

ペリカン文書(1993)

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 ジョン・グリシャム原作の小説を映画化した作品。リーガル・サスペンスと呼ばれるらしい。先に小説を読んでしまうと、やはりいろんな場面がカットされているのが残念だなぁ、と感じてしまうのは僕だけでしょうか。映画は映画なりの楽しみ方をすればいい、と言われればそれまでなのではあるけども……。

 なにしろデンゼル・ワシントンが記者のグレイ・グランサムを演じているのが、小説のイメージとあまりにもかけ離れていて困りました。話の複雑さも、映画であるが故につまらなく単純なものになってしまっている。そもそも映画化が難しかったということなのかもしれない。

 すべてが駆け足で進むような感じで残念であった。

 かつて暗殺集団に加わっていた女性が、自分を死の間際にまで追い込んだ仲間達に復讐するという流れでストーリーが進む。アクション映画に分類して良いのかどうかはわからない。タランティーノの作品はジャンル分けが難しい。ただ、あえて分類するならアクション映画なのでしょう。

 前編は話の半分以上が日本を舞台にしているのだが、ここでのチャンバラがなんともいえない。これが日本だと思われるととても困るのだが、娯楽のためならなんでもありという姿勢がいい。ハチャメチャもここまでくれば芸術の域に達しているような気がする。ただし、戦いの場面がちょいと長くて疲れる。

 テンポの良さという意味では後編の方が楽しめると思う。この現代において暗殺集団のやり手が拳法を習うという設定が、もはや理解不能だが楽しい。考えても見ればこの主人公、復讐を果たすのに爆弾やダイナマイトを使ったりはしません。ほとんどが剣術。まあスターウォーズにもそんな側面はあるから許せるかな。

 本当にいろんな意味で、いい娯楽映画です。

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