2008年11月 Archives

 主人公は23歳の女性。夫が失業中なため、夜間に大学の清掃員をしている。子供は女の子が2人。とても貧しく、トレーラーハウスで暮らしている。それがある日、ガンで余命2ヶ月であることを知らされる……。というところから話が始まる。

 世間的にはあまり評価が高くないようだけど、僕としてはいいドラマに仕上がっていると思う。うーん、日本ではおそらく、主人公の貧しさにリアリティがないんだろうなぁ。まあ確かに日本でもワーキングプアとか注目され始めているけど(というほど盛り上がってはいないか……)、アメリカではそれがもう、注目するほどのものでもなくなっているわけで。

 だからこそ、この主人公が掲げる「死ぬまでにしたい10のこと」の多くは、貧しさと忙しさ故にできなかったことなのだ。23歳にして子供が2人もいるわけだから(しかも1人は小学1年生ぐらい)、そりゃもう、青春を謳歌する機会なんてなかったでしょう。

 もう1つうまいなぁ、と感じたのは、死に行く主人公とそれを知らない他の登場人物の距離感というか、描かれ方がいい。特に夫とダイエットにこだわる友人の2人は、主人公が死に行くということを知っている視聴者に微妙なずれを感じさせる巧みさがある。

 あえて難点を挙げるとすれば、死を宣告されてから物語が終わるまでが、すべてにおいてスムーズすぎることかな。淡々と描いているといえばそうなんだけど、死ぬのって、もっともっと大変そうな気がするじゃないですか。

 ちなみに原題はMy Life Without Me です。珍しく邦題の方がいい映画に出会いました。

ターミナル(2004)

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 クラコジアという国からニューヨークへとやって来た男(トム・ハンクス)が、クラコジアでの紛争のために米国に入国できなくなり、クラコジアに帰国することも許されず、数ヶ月間に渡り空港に閉じ込められるという話。閉じられた空間での人間模様をうまく描いている。現代ならではの「ええ話」の1つでしょう。

 いつもながらトム・ハンクスの演技はうまいなぁ、と思う。というわけで、周りのキャラクターに目がいってしまった。個人的にはインド出身の清掃員、グプタという人物に深みがあっていいと思った。いろんな人間が行き交う空港にあって、この人物が背負う過去と居場所がとてもアメリカの玄関という場所にフィットしていると思う。

 ひとつ難点に感じたのは、主人公が空港を出られるチャンスをあえて見送っていること。確かにそうしないと設定上成り立たないのだろうけど、そこまでして空港内にとどまったその目的というのが……今ひとつ納得感に欠けた気がしないでもない。

ハルク(2003)

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 遺伝子学者が自分の息子を実験台にし、その結果として主人公の息子は怒りの頂点に達するとハルクに変身してしまうという物語。もっと爽快なSF系アクション映画かと勝手に思っていたのだが、かなり暗い展開にやや疲れた。というより、ストーリーのテンポがちょっと遅いかな。

 厳しいかなと感じるのは、物語にいろいろな要素を盛り込もうとしたために消化不良に終わっている印象があることでしょう。主人公はハルクに変身してしまうことについて困惑するのだけど、それが葛藤というレベルに達しない。父親の存在を大きくしてしまったせいではないかと思う。この場合は主人子が怪物であるということ自体が問題なのであって、その原因が死んだと思っていた父親である、というところで話を引っ張りすぎてくどくなっている。残念。

 あとはこの類いの映画で、肝心のハルクがなかなか出て来ないのは問題でしょう。そこに達する前に疲れてしまいました。本当に残念。

 ルパン三世のテレビ向け作品。記憶を操作できる「魔法のランプ」をめぐるドタバタ劇。前半のほとんどは何がなんだかさっぱりわからなくて、あまり楽しめなかった。ルパン三世はときどき、ストーリーに凝り過ぎてややこしくなっているところがある。この作品はその典型的な例かもしれない。

 ここのところのルパン三世はややユーモアにかけている気がしてならない。ここのところといっても、今年に入ってから見た1996年公開の「Dead or Alive」とかをさしているだけなのだけど。

 一番残念だったのが、銭形警部の出番があまりないこと。ちゃんと登場はするけど、見せ場がない。銭形警部あってのルパン三世、と感じている小生にはやや物足りなさが残りました。(少なくともアニメ映画では)。

遠い空の向こうに(1999)

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 舞台は1950年代後半の米国ウエスト・ヴァージニア州。ソ連の人工衛星スプートニクに魅せられて、自らの手でロケットを作ろうと思い立った高校生の物語。炭鉱の町が舞台で、炭坑事業を継がせようとする父親に反対されながらも、自分の信じた道を突き進む。

 主人公を支える各方面の登場人物が暖かい。それとは対照的に、繰り返しロケット作りをやめさせようとする父親の存在の複雑さがうまく盛り込まれている。青春映画の王道を行くような、ええ話です。ストーリー展開があまりにも地味なのだけど、それもこの作品の世界観を固めるのに貢献しているのかもしれない。

 「今を生きる」もそうなんだけど、自由奔放なイメージのあるアメリカでも、実は保守的な親がいっぱいいる、という側面がみられる。保守的な親を乗り越えるという、かなり陳腐で使い古されたテーマなんだけど、ロケット作りをテーマにしてアメリカの未来を感じさせる辺りがニクい。

 ちなみに原題はOctober Sky です。

ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007)

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 第1作のヒットを受けて作られた続編。コンセプトと世界観は第1作を踏襲しているから、その点では安定感がある作品ともいえる。何しろ1作目は良くできていたのだ。

 しかしこれが3作目まで、となると「もういいよ」と思うかもしれない。「三丁目の夕日」はこのご時世に昭和30年代をテーマにすること自体が斬新なのであって、その点では2作目ともなると時代背景というか舞台そのものにありがたみがない。つまり、「貧しくても希望があった」というメッセージを伝えて完結した1作目の壁を越えられなかったという印象が強い。

 ちなみにこの作品では昔の日本橋や羽田空港をリアルに再現したというが、その辺にはあまりありがたみを感じない。日本橋は上に高速道路がないと、ただの橋にしか見えないのだ。

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